エア・カホンを練習してみる
カホンという楽器に対して、それを自作してみようという勢力が存在している。ホームセンターで板を買い、箱に組み立てて、響き線としてスネアドラムのスナッピーかギターの巻き弦を流用する。もともと高価でもない楽器なのだが、さらに安価に入手できることになる。ウェブ上ではこういった箱の製法について活発な情報交換がなされている。
なおいっそう安価にカホンを楽しめないかと考えた場合、エア・カホンというものが誰にでも思いつくだろう。カホンを叩いていることを想像しながら手を動かす。空気を叩いていても仕方ないが、たとえば、ベッドに腰掛けてふちのあたりを叩いてみることもできる。ただ、これではあのカホンらしいバズ音が出ない。レジ袋を敷いてみるとそれらしい音が出るのだが、あまりにも貧乏くさくて悲しくなるので、想像だけでバズ音を補うことにする。
カホンをどう叩くか。教則DVDを見てみよう。映像の時代だ。フラメンコのカホン教則DVDとしてはギジェルモ・マッギルの「アプレンデ・エル・カホン・フラメンコ」というのをよく見かける。このギジェルモ・マッギルというヤッピー風の男は、フラメンコ・ピアノのチャノ・ドミンゲスのグループでドラムを叩いている人だ。主要な曲種のリズムパターンを網羅している。
ただ、このDVDを買おうとして、ちょっと後ろ髪を引かれるようなところがあった。仙道さおりというパーカッショニストによる「大人の楽器生活 カホン、ジャンベの嗜み」というセクシーなカバーデザインのDVDの存在だ。朝日マリオン・コムの民族楽器の旅/カホン(ペルー)のところに彼女の紹介記事がある。若い方の女性の写真が仙道さおりである。ここには演奏の動画もあって、いかにもプロフェッショナルな手の動きをしている。
彼女の脚に惹かれたのではない。このDVDには「指でロール」という項があって、これに関心があったのだ。ロールというのは、サーカスのクライマックスなどでドラムを連打するあの音のことだが、これを指でおこなうというのはギターやキーボードを練習したものにとっては何らかのアドバンテージがあるのではないかと思ったということだ。YouTubeにはこれをうまく使ってジャズドラムのようなサウンドを出している人の動画もある(Cajon Demonstration)。
しかし、ギジェルモ・マッギルのほうにもアバニコという項があって、これは手を扇のように動かしてロールの音を出すことかもしれないと期待できる。ということで、ギジェルモ・マッギルのほうを購入して観てみたら、やはりアバニコはロールと同じことだった。
ギジェルモ・マッギルがあまりにも無口であることに驚かされる。黙々とカホンを叩き続ける。最低限のコメントはあるし、DVDは日本語にも対応しているのだが、テクニックについて詳細に説明があるわけではない。映像を見て覚えろということか。そのためのDVDなのだし。そもそもカホンのテクニックはそういうことができる素朴なものだろう。
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